ローソン石 lawsonite CaAl2Si2O7(OH)2・H2O 戻る

斜方晶系 二軸性(+),2Vz=76〜87° α=1.665 β=1.674 γ=1.685 γ-α=0.020

形態:小さな他形粒状のほか,特徴的な自形の長方形(ややc軸に伸びることが多い)の斑状変晶をなすこともある。

色・多色性:無色で多色性なし。

双晶:(1 0 1)の双晶が時に見られ,集片双晶をなす場合もある。

へき開:2方向((1 0 0)と(0 1 0))のへき開が時に明瞭。その2方向のへき開は互いに90°に交わる。
消光角:結晶の伸びに対し直消光。
伸長:c軸に伸長した結晶の伸びに対しては負。

累帯構造:組成変化に乏しく,累帯構造はない。

産状

低温高圧型の苦鉄質の結晶片岩である青色片岩に産し,藍閃石片岩相を特徴づける(この鉱物は原岩の海洋プレートの玄武岩やはんれい岩中の斜長石の灰長石成分が,高圧条件でCaAl2Si2O8 + 2H2O → 2CaAl2Si2O7(OH)2・H2Oの反応で変化したものに相当する)。
青色片岩中に微小な他形の粒や,断面が長方形に近い0.数mm〜3mm程度の斑状変晶をなす(肉眼では一見,曹長石の斑状変晶に似るが,鏡下ではローソン石は屈折率や干渉色が高い。なお,青色片岩は高圧生成なので長石類はできにくい)。
ローソン石は藍閃石・白雲母(フェンジャイト)・ソーダ雲母・石英・ひすい輝石・アルマンディン・緑泥石などと共生し,世界各地の青色片岩に微粒子で含まれるが,特にアメリカ カリフォルニア州の青色片岩中のものはしばしば数mmの斑状変晶をなし有名である。一方,緑れん石を多く含む青色片岩には少ない。




青色片岩中のローソン石  Ls:ローソン石,Glp:藍閃石
藍閃石を主とする青色片岩中に無色の他形粒状〜短冊状の半自形をなす。同じように屈折率が高く粒状や自形になりやすい緑れん石とは,ローソン石は黄色がかることはなく常に無色で,干渉色もやや低い点で区別できる。